この記事の要点

在宅勤務のビデオ会議が不安定なときは、Shadowrocketのルールだけで原因を決めつけず、Wi-Fiやモバイル通信、接続先サーバー、UDPの利用可否を順に確認します。この記事では、ご自身が利用中のサービスとサブスクリプションがあることを前提に、Zoom・Teamsの通信を調べるときの考え方、Configでのルールの分け方、会議前後の比較手順を説明します。会議サービスの接続先や必要な通信方式は環境によって異なるため、例をそのまま固定ルールとして使わず、実際の記録とサービスの案内に照らして調整してください。

1. まず会議の症状とネットワーク環境を分けて記録する

音声が途切れる、映像が止まる、会議への参加に時間がかかる、といった症状は同じ原因とは限りません。会議中に問題が起きたら、発生時刻、Wi-Fiかモバイル通信か、Shadowrocketの接続状態、Global Routingのモード、影響を受けた機能を記録します。「参加できない」と「参加後に音声だけ途切れる」を分けておくと、接続確立の問題とリアルタイム通信の問題を混同しにくくなります。

会議アプリの診断画面に表示される遅延、パケット損失、接続品質なども、発生時刻と一緒に控えます。単発の数値だけでなく、通常時と問題発生時を同じ場所・同じネットワークで比較してください。測定中にルールとサーバーを同時に変更すると、改善または悪化の理由を特定しにくくなります。

2. UDPとルール分けは、通話の通信経路を確かめてから調整

ビデオ会議では、サインインや制御に使われる通信と、音声・映像などのリアルタイム通信が別の接続になることがあります。リアルタイム通信にUDPが使われる構成もありますが、UDPが利用できるか、どのポートや接続先を使うかはサービス、端末、ネットワーク、経路によって変わります。ZoomやTeamsの通信先を、固定のドメイン一覧だけで一律に決められるとは限りません。

会議アプリの通信 システムのVPN経路 Configのルール判定 選択した出力先 会議サービスの応答

UDPを通せるか確認する際は、Shadowrocket側のルールだけでなく、選択中のサーバーやプロトコルがUDP通信に対応しているか、接続先までのネットワークでUDPが遮断されていないかも確認します。サブスクリプションに含まれる項目の説明が不明確な場合は、ご自身が利用しているサービスの提供元に確認してください。UDPに対応していない経路では、ルールを追加してもUDPが使えるようにはなりません。

UDP
リアルタイム通信で使われる場合がある方式。サーバーと経路の対応確認が必要
TCP
サインインや通信の一部で使われる場合がある。UDPと同じ扱いとは限らない
1項目ずつ
比較時に変更する条件。ルール、接続先、ネットワークを同時に変えない

ルールは接続先の判定に使うもので、サービス全体の品質や通信プロトコルを強制的に改善する機能ではありません。会議サービスのドメインを推測してDOMAIN-SUFFIXを追加すると、サインインや会議以外の通信まで同じポリシーになる可能性があります。確かな接続先が分からない場合は、広い範囲のルールを作らず、まず現在のConfigと接続記録を確認します。

3. 会議の用途に合わせて検証方法を選ぶ

在宅勤務では、会議中だけでなく、社内サイトや業務サービス、通常のWeb閲覧も同じ端末で行います。Global Routingを変更すると、会議以外の通信経路も変わる場合があります。最初は現在の設定を保存し、問題が起きた場面を再現できる範囲で、一つの条件だけを比べてください。

検証の基本:会議の通信と通常の業務通信を分けて考える

会議の確認
  • 音声・映像・画面共有を別々に記録
  • UDP対応と接続先の状況を確認
  • 同じネットワークで短いテストを実施
業務通信の確認
  • 社内サイトや認証への影響を確認
  • 必要なDIRECT・PROXYの方針を維持
  • 変更前のConfigに戻せるよう保存

会議だけの症状を調べる場合も、業務サービスの接続が変わっていないか合わせて確認します。

確認する点 記録する内容 判断の目安
Global Routing Proxy、Direct、Configのどれを選択していたか Configのルールを試すときは、HomeでConfigが選択されていることを確認します。
接続先 Homeに表示される選択中の項目と接続状態 同じルールのまま接続先だけを変えた場合は、その変更を記録します。
通信方式 サーバーやサービス側で確認できるUDP対応状況 対応が不明なら、ルール編集だけでUDPが通ると判断しません。
会議品質 発生時刻、音声・映像の状態、アプリの診断情報 Wi-Fiとモバイル通信の差は、ネットワーク条件も添えて比較します。

判断のポイント:会議の品質と、業務通信の到達性を両方見る

会議が改善しても、社内サイトや認証が使えなくなった場合は、設定全体として解決したとはいえません。変更前後で会議機能と業務サービスを一つずつ確認し、両方が想定どおり動作する設定だけを残してください。

4. Configを保存し、ルールを一つずつ検証する

ここでは、既存のConfigを保全したうえで、ルールの適用状態を確認する手順を示します。接続先ドメインが特定できていない場合は、例のドメインを実際のサービスに置き換えて登録しないでください。ZoomやTeamsの接続先は、公式のネットワーク要件や実際の接続記録など、確認可能な情報に基づいて扱います。

  1. 現在の設定を保存

    Configを開き、利用中の設定ファイルを確認します。編集する前に、元の内容を複製または安全な場所へ保存し、設定名と変更前のGlobal Routingを記録してください。

  2. ルーティングを確認

    Home → Global RoutingでConfigを選びます。ProxyやDirectを選んでいる場合、Configに書かれた個別ルールの動作を検証する状態とは異なります。Sceneを利用している場合は、該当シーンの設定も確認します。

  3. 接続先を照合

    会議の発生時刻とShadowrocketの接続記録を照らし合わせ、実際に観測できたドメインや接続先だけを確認します。認証情報を含むURLや機密情報は、記録を共有する前に必ず隠してください。

  4. 小さく変更

    対象が確認できた場合のみ、既存ルールとの重複や順序を調べて、限定した変更を一つ行います。ルールは上から順に判定されるため、広いDOMAIN-SUFFIXより前に例外が必要か確認し、FINALの位置とポリシーも変えないよう注意します。

  5. 会議を再テスト

    同じ場所・同じネットワークで会議に参加し、音声、映像、画面共有を個別に確認します。結果と時刻を記録し、改善しない場合は追加のルールを重ねず、変更を戻して次の原因を切り分けます。

構文を説明するための例は次のとおりです。example.comは説明用のドメインで、会議サービスの接続先を表すものではありません。実際のConfigでは、対象とポリシーを確認しないまま貼り付けないでください。

[Rule]
DOMAIN,api.example.com,PROXY
DOMAIN-SUFFIX,example.com,DIRECT
FINAL,DIRECT

この例では先に一致したルールが使われます。実際の会議通信をPROXYにするかDIRECTにするかは、ユーザー自身のネットワーク方針とサービス要件に基づいて判断します。すでに利用できている業務向けルールやFINALを、例に合わせて一括変更する必要はありません。

5. Wi-Fiとモバイル通信で別々に確認する

Wi-Fiからモバイル通信へ切り替わると、利用する経路や到達性が変わり、確立済みの会議接続が中断することがあります。接続切り替えの直後だけ音声が途切れる場合は、ルールを変更する前に、同じネットワークを一定時間使った状態でも再発するか確認します。Wi-Fiではルーターの混雑や電波、モバイル通信では電波状況や利用可能なデータ通信量など、端末の外側の条件も記録してください。

Wi-Fiでは会議できるのに、モバイル通信で切れます

まず切り替え時刻と電波状況を記録し、モバイル通信だけで短いテストを行います。Wi-Fi時と同じConfig・接続先で比較し、同時に複数の設定を変更しないでください。

音声は聞こえますが、映像や画面共有が不安定です

会議アプリの診断情報で音声、映像、画面共有を別々に確認します。利用可能な通信量やネットワーク品質も見直し、特定のドメインを推測して広いルールを追加しないようにします。

UDPを許可すれば必ず安定しますか

必ずとはいえません。サーバーがUDPに対応していることに加え、ネットワークと接続先までUDPが通る必要があります。症状が残る場合は、ルール、接続先、ネットワークの順に一つずつ確認してください。

モバイル通信のデータ使用量が限られている場合は、映像品質や画面共有の利用も含め、会議アプリ側の設定を確認します。Shadowrocketのルール変更はデータ通信量そのものを抑える保証にはなりません。また、組織から指定されたVPNやネットワーク要件がある場合は、個人判断で迂回する設定を追加せず、管理者の案内を優先してください。

6. 変更を残す前に、会議と業務サービスを再確認

一度だけ会議に参加できたことを、安定性の確認完了としないでください。Wi-Fiとモバイル通信のうち普段使う環境で、複数回の短いテストを行い、発生時刻、会議機能、接続状態を記録します。テストのたびに接続先やルールを変えるのではなく、変更した項目を記録して、結果を比較できる状態にします。

会議の不調は、アプリ、ネットワーク、サービス側の接続先、VPN経路など複数の要因で起きます。Shadowrocketでは、現在のGlobal RoutingとConfig、選択中の接続先、記録された通信を分けて確認し、裏付けのない固定ルールを増やさないことが重要です。設定を変更しても原因を特定できない場合は、発生時刻と診断情報を整理し、会議サービスの管理者やご自身が利用しているネットワークサービスの提供元に確認してください。